塩沢寺(甲府市)概要: 福田山塩沢寺は山梨県甲府市湯村3丁目 に境内を構えている真言宗智山派の寺院です。塩沢寺の創建は平安時代初期の大同3年(808)、弘法大師空海(真言宗の開祖)がこの地を訪れた際、「 人間には生涯必ず大小25段の厄難あります。私は皆さんの為に大悲菩薩が降臨するように願いましょう。」と説くと17日間祈願、すると1寸8分の大悲菩薩の影が現れたので、大師はその影を頼りに厄除地蔵尊を彫り込んだと伝えられています。その後、天歴9年(955)には空也上人が訪れ、弘法大師空海が刻んだ厄除地蔵尊を模した像を彫り込み安置、さらに建長2年(1250)頃大覚禅師が再興しています。
戦国時代には甲斐国守護職の武田家から庇護され諸役免除の印判状が天正3年(1575)に塩沢寺に対して発布されています。江戸時代初期には御陽成天皇の第8皇子で知恩院初代門跡である良純親王が湯村に幽閉された際、篤く地蔵尊を信仰していた事から塩沢寺にも参拝し京都帰還を祈願されたとされます。
現在も毎年2月13日から14日に行われる塩沢寺厄除け地蔵尊大祭では多くの参拝客が訪れています。伝承によると、厄除け地蔵尊大祭中だけ本尊の石造地蔵菩薩座像が参拝者の願いを聞き入れるとの信仰から遠方からも善男善女が厄難を逃れる為に集まったと伝えられています。
甲斐百八霊場第63番札所。甲府山の手七福神:大黒天。山号:福田山。宗派:真言宗智山派。本尊:地蔵菩薩。
塩沢寺:上空画像
現在の塩沢寺地蔵堂は室町時代末期に建てられたと推定される建物で、木造平屋建て、寄棟、銅板葺、妻入、桁行4間、梁間3間、柱は円柱、外壁は真壁造板張り、内部の構成が密教系仏堂の流れがあるもので、彫刻や組物など室町時代の技術が残る寺院御堂建築の遺構として貴重な事から昭和24年(1949)に国指定重要文化財に指定されています。
塩沢寺山門は入母屋、銅板葺、三間一戸、桁行3間、張間2間、八脚楼門、外壁は真壁造板張り、上層部には格子戸、高欄付、下層部左右には仁王像が安置されています。
塩沢寺山門近くにある舞鶴のマツは東方枝長さ約14m、西方枝長さ約15m、東西に長い枝ぶりが鶴が羽ばたいている姿に似ている事から「舞鶴のマツ」と呼ばれ、「常磐の松」、「鶴亀の松」と共に「甲府の三名松」に数えられる名木として貴重で、昭和40年(1965)に山梨県指定天然記念物に指定されています。
塩沢寺の文化財
・ 地蔵堂−室町時代末期−国指定重要文化財
・ 無縫塔ー右:応永7年・中:正保5年・左:元禄6年−山梨県指定文化財
・ 石造地蔵菩薩坐像−鎌倉時代末期−山梨県指定文化財
・ 阿弥陀種子板碑−貞和6年−山梨県指定文化財
・ 塩沢寺の舞鶴のマツ−山梨県指定天然記念物
・ 塩沢寺のシラカシ林−日本最北端−甲府市指定天然記念物
塩沢寺:周辺駐車場マップ
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