江原浅間神社(南アルプス市)概要: 江原浅間神社は山梨県南アルプス市江原に鎮座している神社です。江原浅間神社の創建は景行天皇の御代(西暦71〜130年)に勧請されたのが始まりと伝えられています。当時、境内からは豊富な湧き水(御手洗の池)が湧き出ていたことから神聖化され、五穀豊穣の神として下流域に住まう人々から信仰の対象となりました。大井の郷総鎮守として歴代領主からも崇敬庇護され、中世には武田家の家臣下条氏から庇護され文亀4年(1504)には下条兵部少輔入道長勝が社殿を再建し、永禄8年(1565)には下条信俊が社殿の修築を行っています。
現在の本殿は延宝2年(1674)に徳川綱重家臣である藤枝丹波守方孝が重修したもので、三間社流造、桧皮葺、江戸時代前期の神社本殿建築ながら桃山時代の作風を残す旧甲西町最古の建物として貴重な存在で昭和44年(1969)に南アルプス市指定文化財に指定されています。
江原浅間神社随神門(神社山門)は切妻、銅板葺、三間一戸、八脚単層門。拝殿は入母屋、桟瓦葺、平入、桁行5間、梁間2間、正面1間軒唐破風向拝付。御神体である女神像は像高40.5cm、中央の如来像を中心に異なった3方を向く女神像が取り囲んでいるという特異な形態で、形態や形式から平安時代(11世紀中頃)に製作されたと推定され、これが正しければ、今まで最古とされる忍草浅間神社(山梨県忍野村)の木造女神坐像(正和4年:1315年、丹後出身の仏師、石見坊諍観が製作、檜材、一木造、像高・伝木花咲耶姫像:40.5cm)をはるかに遡り富士山信仰に関わる最古の神像という事になります。
平安時代から鎌倉時代初期の富士山信仰では天女と思われる美女が密接に関わっている事から江原浅間神社の女神像も天女を表現していると考えられ、富士山信仰の初期に形態を知る上で極めて貴重な存在で平成25年(2013)に国指定重要文化財(美術工芸品)に指定されています。祭神:木花之開耶姫命、瓊瓊杵尊、日子穂穂手命。
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