忍野八海・歴史概要: 忍野八海とは湧池、銚子池、出口池、菖蒲池、濁池、鏡池、お釜池、底抜池の8つの池総称です。元々は富士山の噴火によって形勢された堰止湖でしたが、桂川の運ぶ土砂により湖面が埋まり、富士山の伏流水によって忍野八海が生まれました。
忍野八海の湧水は富士山の雪解け水が約80年の年月をかけ濾過されたもので、透明度が高く魅力的で神秘的だった為、信仰の対象にもなり、富士山を信仰する富士講では忍野八海を「元(小)八海」と称し水行(水垢離)を行った後、富士山の登拝に望んだと云われています。
忍野八海の池は8つ霊場で構成され第一霊場の出口池は難陀竜王、第二霊場の御釜池は跋難陀竜王、第三霊場の底抜池は釈迦羅竜王、第四霊場の銚子池は和脩吉竜王、第五霊場の湧池は徳叉迦竜王、第六霊場の濁池は阿那婆達多竜王、第七霊場の鏡池は麻那斯竜王、第八霊場の菖蒲池は優鉢羅竜王がそれぞれ祀られ信仰の対象になっていました。
忍野八海は大変貴重な事から昭和9年(1934)に国指定天然記念物に指定され、昭和60年(1985)に環境省による日本名水百選に選定、平成6年(1994)に新富岳百景に選定されています。平成25年(2013)には「富士山:信仰の対象と芸術の源泉」を構成している1つの要素として評価されユネスコによる世界文化遺産に登録されています。
周辺は茅葺屋根の建物などが配され観光地としても整備されています。
歴史ある伝説が伝わる忍野八海の写真
忍野八海の歴史と伝説と民話
忍野八海を構成する8つの池にはそれぞれ歴史と伝説、民話が受け継がれています。
【 出口池 】では伝兵衛、おとら、久太郎と呼ばれる3疋の狐が巣食い村人に対して悪事を繰り返していたところ、日頃から稲荷神を熱心に信仰していた村人に神託が降り、それに従い稲荷神を祭る社を設けたところ不思議と狐の被害が無くなったと伝えられています。
【 お釜池 】には昔、父親と美しい姉妹が住んでいました。ある日、妹が池で洗濯しいたところ、池から大蟇が出現し妹を池の中に引きずり込んでしまいました。急いで、村を挙げて池の中を捜索しましたが、妹の遺体を見つけ出す事が出来なかったと伝えられています。
【 底抜池 】は古くから誤って何かを落とすと、その底からは落とし物が見つかった試しが無いとされ、忘れた頃に「お釜池」に浮んでくるとの伝説が伝わっています。
忍野八海:上空画像
【 銚子池 】の近くの家に美しい花嫁が嫁ぎ、その披露宴で集まって来た親類縁者や村人達にお酒を継いでいました。すると誤って大きな屁(おなら)を放ってしまい村中の笑い者になった事から花嫁は余りにも恥ずかし、思い余って池に身を投げてしまいました。その後、池には花嫁の草履と銚子が浮んできた事から「銚子池」と呼ばれるようになったと伝えられています。現在はこの伝説から縁結びの池となっています。
【 湧池 】は昔、富士山が大噴火し、当地にもその被害が及ぼうかとする刹那、木花開耶姫命が降臨し「私を信仰し永久に敬うならば、みんなに水を与えよう。」と継げると、そこから懇々と清水が湧き出し池になったとの伝説が伝えられています。
【 濁池 】の近くに住む老婆の家にボロボロになった身なりの修行僧が尋ね、一杯の水を求めました。しかし、老婆は意地悪く断って追い返すと、不思議な事に池が急に濁り出したと伝えられています。
【 鏡池 】は富士山の姿が写り込む事から名付けられと伝えられています。又、集落でもめ事があると、鏡池で身を清め、解決を祈願するという習わしがあったとされます。
【 菖蒲池 】には、昔、仲睦まじい若夫婦が住んでいたものの、夫の方が労咳で余命いくばくとなり医者も見放す程でしたが、妻はこの池で一心不乱に水を浴び労咳平癒を祈願した所、その満願の日を境に夫の容体が回復に向かい健康の体に戻ったと伝えられています。この伝説から夫婦円満や家族愛に御利益があるそうです。
忍野八海:周辺駐車場マップ
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